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くるまいすなはなし

皆さんは車いすをどのような目的で使う道具だと思いますか?
足を怪我(けが)して歩けなくなった時の移動手段。加齢(かれい)や障がいで歩くのが辛くなった時の移動手段…などを思い浮かべるかたが多いのではないでしょうか?
〇〇できないから車いすを仕方なく使う…なんだか、車いすってマイナスなイメージですね。
でも実際には、車いすはもっともっと色々な目的に使われていて、ユーザー(使用者)の「できる」を支援する重要な役割を持っているんです。
車いすを使って〇〇できる…なんて、ちょっとプラス思考で車いすを見てみましょう。
あなたは、どれだけの「できる」を発見できるでしょうか?
 

その1 車いすのイメージってなんだろう

ところで、あなたは車いすをイメージスケッチで描けますか? そもそも車いすの車輪って3つ?4つ?6つ??? 実はどれも正解。でも、今の段階でそれをいうとややこしくなるだけなので、基本は4つと思っておいてください。タネ明かしはのちほど。

普通型と、手押型

そこで、車いすを色々な角度から分類してみましょう。
まずは基本のかたちをふたつ。
車いすには自分で操作するもの(普通型)と、誰かに押してもらうもの(手押型)のふたつに大きく分類できます。車輪の外側にリング(ハンドリム)が付いていて、それを手で回して車いすを操作するのが普通型です。一方、手押型は介助者(かいじょしゃ)が押して操作するので車輪を小さくして持ち運びや収納しやすいものが多いです。

ペケのかたちをしたパイプの役割

そうそう、収納といえば、車いすって折りたためるのはご存じですよね?
車いすが目の前にあったら(そんなひとは少ないか)、座席のシートの下を覗(のぞ)いてみてください。ペケのかたちをしたパイプが見えるでしょう。座席のシートの真ん中を持って引き上げると、そのパイプがパンタグラフのように縮んで車いすをたたむことができるんです。
さらには押し手パイプがたためたり、足台が外せたりとあちこちがバラバラになって、とてもコンパクトにすることもできるんです。自動車のトランクにも「すぅっ」っと入っちゃいます。

あれ〜〜〜? この車いすには、ペケのパイプがないぞ〜?というかた(さらにそんなひとは少ないけど)。それは、折りたたみのできない固定車の可能性があります。
コンパクトに収納できないじゃん! …そのとおり。でも、それをもって上回るメリットがたくさんあるんです。まずは、丈夫、頑丈。そして硬い! ん?乗り心地悪くね? いえいえ、自動車と違って人力で駆動(くどう)する車いすにとって、ハンドリムを操作するちからが、どれだけロスなく路面に伝えられるかが重要なポイントなんです。ロスがないということは、少ない力でも車いすを動かすことができるので、手に障がいのあるかたや小さなお子さんでも楽に操作することができるんです。
「楽にできる」これはとても大切なことで、楽だから余裕が持てる⇒余裕があるから他に何かできる。この連鎖(れんさ)がどんどん拡がってヤル気に繋がるんです。
——ちょっと、はなしが飛躍しすぎましたか。

カッコイイことも大事なこと

ちなみに競技専用の車いす(車いすバスケットやマラソンなどが有名ですね)も、より速く、より力強く動くために固定車が採用されています。
他にも固定車のメリットとして、デザインの自由度が高いことがあげられます。折りたたみができる車いすは便利なのですが、折りたたむためのフレーム構造には一定のルールがあり、それをもとに設計されています。固定車はその縛(しば)りがないので、フレームデザインに他の機能を盛り込んだり、カッコ良くしたりすることが可能です。
たとえば、座席下のペケのフレームがなかったら、そこに大きな収納スペースが生まれます。人工呼吸器を搭載(とうさい)することもできるので、数時間のお出かけもできるようになるわけです。
カッコイイことも大事なことです。自動車やオートバイ好きがひとよりカッコイイモデルに乗りたいのと同じです。特にアクティブユーザーと呼ばれる脊髄損傷者を中心とした顧客層(こきゃくそう)を狙って、各車いすメーカーはこぞってイケテル車いすを投入しています。
かわいい車いすに子どもを乗せたいお母さんも多くおられて、こういうことからも皆さん車いすを楽しんでいらっしゃるのがわかりますね。

 

その2 車いすを目的別に分類してみよう

今度は車いすを目的別に分類してみましょう。
目的によって車いすのかたちや機能、大きさや材質が変わってきます。日本の市場には、様々なニーズに対応できるたくさんの種類の車いすがあるんですよ。

車に積める 立ち上がれる おしゃれができる 旅行ができる 仕事ができる
速く走れる ゆったり休める 呼吸ができる 食事ができる お風呂に入れる
学校に通える お散歩ができる 自分で動ける 坂道が上がれる 高いところに手が届く
ベッドに移れる トイレができる 海水浴ができる スキーができる モテる…
このような様々な「できる」を車いすを使って実現させることができるんです。

たとえば…スポーツだって

交通事故で下半身が麻痺(まひ)した私は、半年間の入院生活を経て、この度なんとか退院することができました。勤め先にも復帰が決まり、手動運転装置を取付けた車で通勤することになりました。この秋には6年間のお付き合いの末、入院中も支え続けてくれた彼女と結婚することになってますので、身体に対する不安もありますが、今はがんばるぞ!という想いでいっぱいです…と、おっしゃられる会社員Aさん(34歳) 
そんな彼には、アクティブユーザーをターゲットとしたモジュールタイプの車いすをオススメします。モジュールタイプというのは、ユーザーの状況に合わせてセッティングを変えることのできる車いすのことです。
受傷(じゅしょう)後間もないAさんにとって、退院して社会生活を営むこと自体がリハビリです。いわば車いすユーザーとしては、まだまだ初心者なので、ベテランユーザー向けのセッティングでは乗りこなせないでしょう。
自転車を乗り始めたとき補助輪を片側ずつ外して練習した覚えがあるでしょ?  それと同じような感覚です。
車いすの操作スキルが向上するにつれて、より動きやすい軽いセッティングに組み換えができるのがモジュールタイプなんです。
そして、このような機種はデザイン的にもオシャレで、個性を主張できるフレームカラーなどは数えきれないほど用意されています。Aさんはとっても目立つライムグリーンを選ばれました。
毎日の通勤において、自分の車いすを車内に積み込むためには軽くてコンパクトなものが便利です。素材はアルミ合金のものが主流ですが、さらに軽量なチタンやカーボン素材のものまであります。
色んな器材が置かれている会社の事務所内でもコンパクトな車いすでスイスイ動き回れます。もちろん、職場のデスクの高さに車いすを合わせることもお忘れなく。
朝起床して就寝するまで、1日の大半を車いすで過ごすわけですからクッションの選定はとても大事です。セッティングの出来次第で、同じ車いすでも快適に過ごせたり、とても疲れやすくなったりするものなんです。
結婚して余裕の出てきたAさんは、週末に奥さんとテニスを始めることにしました。テニスをするときは日常使っている車いすからテニス用のものに乗り換えます。あの広いコートを自在に動き回れるのも車輪がハの字に開いた(キャンバーと言います)専用車だからできるんです。
Aさんの使っているテニス用車いすは車輪が5つあるんですよ。スポーツ用は操作性を追求した結果、車輪が5つや6つ付いているものが多いです。ちなみにマラソン用は3つしか車輪がありません。
Aさん、次はスキーに挑戦するって言ってました。あ、そうそう。雪山へ行くときは日常用の車いすにスノータイヤを履(は)かせることをお忘れないように。ノーマルタイヤだと滑って一歩も動けませんよ。雪山で奥様と愛のシュプールを描いてください。

たとえば…電動車いすをおしゃれ化けいかくも

誰とでも仲良くなれる活発な女の子のIちゃんは、養護学校に通う小学校3年生。いつもコミュニケーションボードを使ってお母さんとのおしゃべりを楽しんでいます。愛犬のシュテファーニエⅡ世は介助犬で、Iちゃんの電動車いすを怖がることなくぴったりと寄り添って一緒に通学しています。
Iちゃんは脳性麻痺(のうせいまひ)で自分で身体のバランスをうまく取ることができないのですが、ティルト機能のついた車いすにモールドタイプのクッションを使って身体の足らない機能をうまく補っています。最初は苦労しましたが、今では大人の看視のもと電動車いすも自分で操作することができるようになりました。
「まっくすはーと号」《注;Iちゃん命名の愛車(電動車いす)のこと》は、折りたたみのできる車いすフレームに電動ユニットを組み付けた簡易電動と呼ばれる機種なので、お母さんの運転する軽自動車にも小さくたたんで積むことができます。
お母さんの車で近くのショッピングモールまでドライブして、マイブームの焼きドーナツを食べるのがIちゃんの日課になっている様子です。おいしいからって、食べ過ぎて太らないようにね。モールドクッションが身体に合わなくなっちゃいますよ。

Iちゃんの今年の目標。
卓球バレーをがんばる——。
文字通り卓球台を使ってバレーのように3打以内で相手のコートにラケットで転がして打ち返す競技です。1チーム6人編成で、障がいの程度にかかわらず、色んなひとが楽しめます。京都の養護学校が発祥(はっしょう)の地で、地元の車いすバスケットチームが挑戦して負けたとか…。
海水浴に行ってクラゲをつかまえる——。
砂浜でもタイヤの埋まらないビーチ用の車いすをレンタルしてくれる海水浴場があります。水辺にも近づけるので、そのまま海にぼちゃんと入ります。
でも、クラゲは刺されると痛いので、やめといたほうがイイですよ。
「まっくすはーと号」をもっとおしゃれ化けいかく。
まっくすはーと号のフレームはもともと何色だったのでしょう?
毎月のおこづかいから少しずつクリスタルビーズを買って、キラキラフレームになりました。スポークカバーのスティッチもこれからキラキラ化する予定です。
 

いちばん大事なことってなんだろう

さて、あなたは車いすの「できる」をいくつ見つけることができましたか?
“A handicap is inconvenient, is not a misfortune, though”
「障がいは不便であるが、しかし不幸ではない」
ヘレン・ケラーの名言ですね。多くの障がい者が、このことばに共感を覚えています。
「一番大事なことは、どんな環境が必要かということではなく、どんな考えで毎日生活しているか、どんな夢を追い求めているか、ということなのです」
かく言う私も20歳の時に事故で車いす生活になりましたが、それまで歩けていた人生とその後の車いす人生を比べて、どちらが幸せだったかは判断できません。
ただ言えることは、今の生活がとても充実しているということです。
いままで体験してきたことや出会いは、車いすの生活があったからこそのもので、そこには感謝こそあれ、後悔は微塵(みじん)も感じえません。
これからも車いすの「できる」をどんどん見つけて挑戦していきたいです。
ちなみに今年の夏はグリーンカーテンで節電対策をしようと、ゴーヤの栽培に挑戦するつもりです。
また機会がありましたら、「くるまいすなはなしパート2」でお会いしましょう。
その時にはゴーヤの報告もできると思います。
 
 

株式会社ミキ 芝崎泰造