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用具、そして技術と心

シーティングを支える用具

自分の力で“姿勢”を保つことが困難な場合、適切な用具が必要になります。そして具体的な用具として、「座位保持装置」が身体障害者・児童、難病患者等を対象にした補装具費支給制度に位置付けられて、公費が支給されます(児童には「座位保持いす」「起立保持具」も支給対象)。また、日常生活用具給付等事業には「入浴補助用具」などもあります。「補装具」「日常生活用具」に留まらず、さまざまな工夫をして適切な姿勢を確保しようとするシーティングのための用具がたくさん生まれています。

そこでは、その選定や調整も欠かせません。姿勢を評価し、現在の心身状況と将来予測、日常生活と社会生活での獲得目標、また家族や支援者および家や施設といった環境などを加味します。そのためには、ユーザーを中心に、家族・支援者、医師・セラピストなどと用具提供事業者のチームアプローチで臨むことになります。

 

座位保持装置の例

シャワーチェア(入浴補助具)の例

起立保持具の例

 

 

開発されてきたさまざまな車椅子

補装具費支給制度では、車椅子を「車椅子」と「電動車椅子」にわけ、さらにそれぞれ普通型、リクライニング式(背もたれを倒せるもの)、ティルト式(座面を傾けられるもの)、リクライニング・ティルト式等と細かく分類しています。

一般には、誰かが押す「介助用」と自分で漕ぐ「自走用」、手や足で動かす「手動式」とモーターで動く「電動式」にわけられるでしょう。マラソンやバスケットなど車椅子スポーツ用に特化した車椅子もあります。

一昔前の車椅子のイメージは、お年寄りや病気の人が乗って誰かに押して貰うものだったのではないでしょうか。でも今では、自走車椅子や電動車椅子も街や駅などで普通に見かけるようになりました。それには、1980年代半ばのハンドル形電動車椅子、90年代末の簡易電動車椅子の登場も大きく影響しています。

身体状況や利用目的等によってさまざまな車椅子が開発されてきているなか、シーティングと同様に選定と調整にはチームアプローチが求められます。

車椅子(手動普通型・自走用)
の例

電動車椅子(普通型・自走用)
の例

陸上競技用車椅子の例

 

車椅子シーティングの求める「用具・技術・心」

自分の力で“移動”できない、あるいはしにくい場合、適切な用具の一つに車椅子があります。シーティングのための用具と同じく、車椅子は素材やシステムの開発とあいまって利用目的によって特化してきました。

例えば、重い障害があって長時間車椅子で過ごす人にはティルト・リクライニング車椅子、調理師など移動と起立が必要な職業の人にはスタンディグ車椅子、小さい子どものためにはお母さんなどが押す「バギー」と呼ばれる手押し型車椅子、外出には電動車椅子で家庭では手動の車椅子……。人は意思を持って暮らすなかで、必要な車椅子を使うと言えるでしょう。

忘れてならないのは、車椅子は“椅子”だということです。その意味では、シーティングは車椅子を内包します。私たちJAWSは車椅子とシーティングを扱う業者がいっしょになってスタートをしました。そこで、あえて「車椅子シーティング協会」を名乗っています。

言い換えれば、JAWSの主軸は、移動すること、姿勢を保つことのふたつ。そのうえで、「用具・技術・心」という広範囲な課題を共有しながら、さまざまな人たちを巻き込みながら、モノづくり、人づくりを通じて社会貢献していく所存です。

 

シーティングのための用具や車椅子の入手方法

シーティングのための用具や車椅子は、街のお店やネットショップでも購入することができますが、「障害者総合支援法」「介護保険法」「労働者災害補償保険法」や医療保険等に則って入手するのが一般的です。ただし、どの制度を使えるかは、利用者の条件などによって決まってきます。詳しいことは、各市区町村の福祉課や地域包括支援センター、労働局(労災の場合)などの相談窓口におたずねください。

障害者総合支援法では、「補装具(規定された座位保持装置、車椅子等)」を必要とする障害者・障害児・難病患者等には、補装具費支給制度によって処方内容に沿った費用が支給されます。原則、その9割が公費、1割が利用者負担となります。自治体(実施市町村)によっては1割負担が補填されるケースもあります。

また、車椅子フレームの色を特別にするなど処方に含まれないものの費用や支給基準額を超えたときの差額を利用者が負担するケース、基準にない項目についても必要と認められれば特例補装具として支給されるケースがあります。

なお、支給要件に該当しない場合、あるいは所得が一定を超える場合など、全額自費で入手することになります。
参考:補装具費支給制度について
   福祉用具(厚生労働省)

私たちJAWSは、車椅子シーティングを担う者としての自覚と誇りをもって研鑽を積ん でいます。シーティングのための用具や車椅子を入手しようというとき、良きパートナー となるでしょう。ぜひ、お近くの協会員にご連絡ください。

参考:協会員名簿

ティルト・リクライニング車椅子の例

スタンディング車椅子の例

バギーの例