- 日本車椅子シーティング協会では、資料作成事業の一環として、WHOが発行した車椅子・シーティング関連資料の翻訳および公開に取り組んでおります。
- 以下の資料はWHOより非営利(経費回収目的でのみ販売可能)での翻訳出版許可を取得しており、日本語版著作権は一般社団法人日本車椅子シーティング協会に帰属します。
- 日本語版資料の閲覧およびダウンロードは自由ですが、上記の理由から第三者による複製・販売は固くお断りいたします。また転載される場合は、当協会までお知らせ下さい。
- 各資料を読み進める順番等の指定は特にありませんが、一つの参考として訳者が作成した読み方の目安をこのウェブページの末尾に掲載しました。
- 一部資料の翻訳に当たり、公益財団法人 日本社会福祉弘済会より研究助成を頂きました。ここに御礼申し上げます。
(2022.10.4記)
手動車椅子供与の世界ガイドライン 低リソース状況の克服に向けて
(Guidelines on the Provision of Manual Wheelchair Service in Less-resourced Settings, 2008)
概要:主に低・中所得国向けに作成された車椅子供与事業・政策策定の指針であるが、先進工業国にとっても極めて重要な内容を含むグローバルな文献。次回改訂版では「低リソース状況」の語を抜き、全世界向けのガイドラインとして刊行予定。
手動車椅子供与の世界ガイドライン日本語版PDF
*各国語版(含日本語版)はこちら(WHOウェブサイト)
低リソース状況での移動支援機器供与に関する共同方針提言書:個人的移動性に関する障害者の権利に関する条約(CRPD)履行に向けた一歩
(Joint position paper on the provision of mobility devices in less-resourced settings : a step towards implementation of the Convention on the Rights of Persons with Disabilities (CRPD) related to personal mobility, 2011)
概要:上記ガイドラインへの3年目のフォローアップ。ガイドライン(の実施は「障害者の権利に関する条約」の履行の一環とされる)の提示にもかかわらず低リソース状況での移動支援機器普及が遅々として進まない現状報告、改善を阻む問題点の指摘、およびその克服に向けた政策提言などが内容。
低リソース状況での移動支援機器供与に関する共同方針提言書日本語版PDF
*各国語版(含日本語版)はこちら(WHOウェブサイト)
基礎車椅子サービス教習パッケージ
(Wheelchair Service Training Package – Basic level, 2012)
概要:車椅子の供与や適合に現場で携わる職員向けの実践的・総合的な技能教習パッケージ。WHOが8つのステップにまとめた車椅子サービス提供の全プロセスについて、人権・国際法・コミュニケーション・身体評価などの理論的授業から車椅子の乗り方・処方・適合・改造・メンテナンスなどの演習および実習に至る、基礎的な車椅子提供に要求されるすべての技能と知識を教習する包括的プログラム。教材は、受講者用参考書・ワークブックのみならず教習員用指導書(講習準備の手引きや必要機材リスト、授業の計画やシナリオも含む)、プレゼンテーションスライド、動画、受講者および教習員の評価表、意識啓発用ポスター、各種書式(参加登録簿から当事者の写真撮影許可書など)を網羅し、教習内容のみならず実施・運営・評価方法のマニュアルまでを備えている。
この基礎レベル教習パッケージは車椅子供与の基礎技能教習教材として途上国のみならず世界に広く普及しており、例えば米国では国際車椅子専門家学会(ISWP)が教習を実施している。
またWHOの各教習パッケージは内容のみならず研修設計の観点からも優れて現代的であり、車椅子・シーティング・国際協力のみならず広く教育や研修に関わる方々にとっても有用であろう。
受講者用参考書
受講者用ワークブック
教習員用指導書
フォーム・確認表冊子
ポスター(一括ダウンロード)
プレゼンテーションスライド(メニューページへ)
資料動画(YouTubeチャンネルへ)
改訂版車椅子事前評価フォーム NEW
*各国語版(含日本語版)はこちら(WHOウェブサイト)
中級車椅子サービス教習パッケージ
(Wheelchair Service Training Package – Intermediate level, 2013)
概要:上記基礎レベル教習を修了して現場経験を積んだ職員向けの次の段階の教習パッケージで、姿勢保持ニーズのある車椅子ユーザー、特に子どもへの対応に重点を置いている。姿勢保持については、途上国を含む世界で広く実施可能な、普通型車椅子に改造を加え各種姿勢支持具を追加する範囲での対応を取り上げている。資料の構成は基礎レベルとほぼ同一。
受講者用参考書
受講者用ワークブック
教習員用指導書
フォーム・確認表冊子
ポスター(一括ダウンロード)
プレゼンテーションスライド(メニューページへ)
資料動画(YouTubeチャンネルへ)
改訂・補足された図表 NEW
*各国語版(含日本語版)はこちら(WHOウェブサイト)
管理者向け・関係者向け車椅子サービス教習パッケージ
(Wheelchair Service Training Package for Managers and Stakeholders, 2015)
概要:「管理者向け」「関係者(ステークホルダー)向け」の2部からなる教習パッケージ。前者は車椅子供与に携わる事業体の管理職向けの教習パッケージで、車椅子供与の運営・施設管理・マネジメントなどが主な教習内容。後者は車椅子供与関係者(当事者や実務家のみならず行政担当者、政治家、企業家、資金供与者、メディアなども含む)に向けた意識啓発・政策提言ワークショップの実施マニュアル。
管理者向け参考書・ワークブック
管理者向け補足資料
管理者向け教習員用指導書
管理者向けプレゼンテーションスライド(メニューページへ)
管理者向け車椅子サービス教習パッケージ資料動画(YouTubeチャンネルへ)
関係者向け教習員用指導書
関係者向けプレゼンテーションスライド(メニューページへ)
関係者向け車椅子サービス教習パッケージ資料動画(YouTubeチャンネルへ)
修正版関係者向けプレゼンテーションスライド NEW
*各国語版(含日本語版)はこちら(WHOウェブサイト)
車椅子サービス教習員養成教習パッケージ
(Wheelchair Service Training of Trainers package, 2017)
概要:各教習パッケージで指導に当たる人材の力量育成、いわば「教育者を教育する」ためのパッケージ。上記既成パッケージ教材への訂正・追加情報も含むため、これらの教習パッケージを実施する際には必ず一読をお勧めする。また各「教習員指導書」前半の「必須教習技能」の部は基礎・中級・管理者/関係者向けを通じて共通で、これら3種それぞれの「教習員指導書」と受講者向け「ハンドブック」の後半の、教習パッケージ別モジュール部分はほとんど同一であるため、すべてを通読する必要はない。
教習員養成教習・必須教習技能プレゼンテーションスライド(メニューページへ) NEW
教習員養成教習・基礎教習員指導書 NEW
教習員養成教習・基礎教習ハンドブック NEW
教習員養成教習・基礎教習模擬授業割り振り表(実習生用) NEW
教習員養成教習・基礎教習模擬授業割り振り表(教習員用) NEW
教習員養成教習・中級教習員指導書 NEW
教習員養成教習・中級教習ハンドブック NEW
教習員養成教習・中級教習模擬授業割り振り表(実習生用) NEW
教習員養成教習・中級教習模擬授業割り振り表(教習員用) NEW
教習員養成教習・管理者/関係者向け教習員指導書 NEW
教習員養成教習・管理者/関係者向け教習ハンドブック NEW
教習員養成教習・管理者/関係者向けプレゼンテーションスライド(メニューページ) NEW
教習員養成教習・管理者/関係者向け教習模擬授業割り振り表(実習生用) NEW
教習員養成教習・管理者/関係者向け模擬授業割り振り表(教習員用) NEW
*各国語版はこちら(WHOウェブサイト)
【参考】WHO(世界保健機関)の車椅子・シーティング関連翻訳資料の読み方
- これらの文献に最初に触れる方には、何よりもまず、最初に発行された「手動車椅子供与の世界ガイドライン」に目を通すことをお勧めする。本書の構成をp.9-10「要約」で押さえ、それから通読すると効率的であろう。各章は順に読み進むことを前提に配列されているため、関心のある章だけ拾い読みする場合も、各章末尾の「まとめ」は一通り読んでおくと理解しやすい。
- それ以下の資料は、上記「世界ガイドライン」から発展あるいは派生したものといえる。
- 「世界ガイドライン」発行後の開発途上国における車椅子供与の状況に関心がある方は、「低リソース状況での移動支援機器供与に関する共同方針提言書」を読まれるとよい。また本書は、他の後発資料で参考文献として挙げられることが多い。
- 各「車椅子サービス教習パッケージ」は「世界ガイドライン」第3章「サービス提供」および第4章「教習/人材育成」での提言を具体化・発展させたものであるため、最初にこれらの章の内容を押さえておくと教習パッケージ全体の狙いや構成を理解しやすい。
- 各「車椅子サービス教習パッケージ」(基礎、中級、管理者・関係者向け)はそれぞれ独立した教程として編まれているが、中級教習は基礎教習の受講を前提にしており内容の重複を極力避けているため、正確な理解のためには、この二つは基礎→中級の順に読み進むことをお勧めする。また「管理者向け」「関係者向け」もそれぞれ独立したワークショップ教材であるが、前者を非実務家向けにアレンジして後者の内容とした部分が多いため、管理者→関係者の順で読み進むのが効率的であろう。
- 「基礎車椅子サービス教習パッケージ」をはじめとする各教習パッケージ内の教材は、単独の読み物や視聴覚資料ではなく、所定の教程のために組み合わされて初めて機能する(学ぶ側と教える側双方にとり)教習教材であるため、なるべく教習を再現する形で読み進める方が全貌を理解するうえで効率がよい。例えば教える側に立ったつもりで、そのテキスト「教習員用指導書」を読み進め、第3部「授業計画の詳細」(いわば各授業のシナリオ)からは指示に従い、動画を視聴し、「受講者用参考書」「受講者用ワークブック」、各フォームや確認表、ポスターを参照するとよい。
- 各教習パッケージについて、授業ごとの目的や要点は、授業計画冒頭の「目的」および最後のスライド「要点のまとめ」を初めに読んでおくと理解しやすい。
- 「中級車椅子サービス教習パッケージ」も「基礎」と同様に読み進めるとよいが、中級教習で使用する器具などは「管理者向け車椅子サービス教習パッケージ」の「補足資料」で初めて説明され、しかも日本ではあまり用いられていないものもあるため、こちらにもあらかじめ目を通しておくと理解しやすい。
- 「管理者向け車椅子サービス教習パッケージ」も上記2パッケージと同様の読み方でよいが、ここでは受講者用「参考書」と「ワークブック」が合本になっていることに注意。また「補足資料」は独立性が高い情報豊富な資料で、別個に通読する価値がある。「管理者向け」用の動画はすべて上記2パッケージと同じか短く編集したものである。
- 「関係者向け車椅子サービス教習パッケージ」は非実務家向けワークショップ(集会?)のシナリオであるため、テキストは「教習員用指導書」のみで動画も「管理者向け」に含まれるものだけである。
- 各教習パッケージの「受講者用参考書」は当該パッケージの教習内容をコンパクトにまとめたもので、教習修了後の復習にはたいへん便利であるが、教習内容のすべてを網羅しているわけではないことには注意すべきであろう。
- これらの資料は日本車椅子シーティング協会国際委員会・アジア姿勢保持プロジェクトが諸外国で実施する講習会の教材作成の参考資料として翻訳を進めたものであり、日本の状況や現場でどう役に立ち、活用ができるのか、作成者としては正直なところ未知数である。読者の方々からのご意見やご感想を、日本車椅子シーティング協会事務局まで頂ければ幸甚である。
【更新情報】
- 基礎および中級車椅子サービス教習パッケージに「フォーム・確認表冊子」をそれぞれ追加しました。
(2023.5.26更新)
- 「車椅子サービス教習員養成教習パッケージ」を追加しました。
- 「車椅子サービス教習員養成教習パッケージ」で新たに収録された、基礎車椅子サービス教習パッケージ「改訂版車椅子事前評価フォーム」のリンクを基礎教習パッケージのメニューに、中級車椅子サービス教習パッケージの図表で改訂・捕捉されたものリンクを中級教習パッケージのメニューに、関係者向け車椅子サービス教習パッケージのプレゼンテーションのうち修正されたもののリンクを「修正版プレゼンテーションスライド」として管理者向け・関係者向け教習パッケージのメニューに、それぞれ追加しました。
(2023.12.13更新)